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ノートPCのバックライトは交換できる?

!!! 注意 !!!
お約束ですが、分解・改造は自己責任でお願いします。
特に液晶パネルの分解は超危険ですので、自信の無い方は素直に修理に出す事をおすすめします。

先日某オークションで購入したダイナブックSatellite2550S。実勢価格より安く購入でき、
けっこう美品だったのですが、ひとつだけ気になる点が・・・。そう、液晶が赤っぽくて暗くなっていたんです。

まぁ、発売から3年くらい経過した製品ですし、以前どんな使われ方してたのか知るよしもないので、
経年変化と諦めて使っていたのですが、これが結構気になるんですね。色温度が低いのはともかく、
画面が暗いのは使っててなんだか気分まで滅入ってしまいます。

とりあえず、東芝の修理集中センターという所に電話してみました。すると、液晶パネルのバックライトの交換は
18000円~20000円で可能のこと。あらら?バックライトの交換ってやってくれるんだ。PowerBookやThinkPadなどの
「大事に使われる系」ノートPCの関係サイトを見て回った限りでは、バックライトの交換はやってくれないという
情報が大半だったので、これは意外でした。対応も丁寧で好印象。保証書なしでも大丈夫だそうです。
ちなみに、液晶パネルの全交換は65000円程度との事でした。

しかし、修理が可能とはいえ、せっかく安く買ったノートにそんなに追加投資するのもバカげた話。
メーカー以外にバックライトの交換を請け負うお店も見つけましたが、あまり金額の差もなさそうです。
そこで、思い切って自力で交換に挑戦してみる事にしました。

バックライト交換後のDynaBook Satellite2550Sです。交換前の写真は・・・見事に撮り忘れました(笑)。
なお、Satelliteシリーズで同じツラをしている2510,2520,4260なんかも同じ要領で交換出来ると思います。

 

まず、バックライトの灯体であるCCFL(冷陰極管)を入手するのですが、これが一番大変かも知れません。
たぶん国内のパーツ屋さんでは手に入らないと思います。いわゆる「冷陰極管キット」という名前のインバータ込みの
物は売られていますが、これは管が短すぎて普通のノートPCには使用出来ません。液晶パネルの大きさに合った
陰極管は前述の販売店でも小分けしてもらう事が出来るそうですが、私はdigi-keyという米国のパーツショップから
個人輸入で入手しました。

digi-keyのwebサイトで"CCFL"を検索し、液晶パネルのサイズに合う長さの陰極管を探します。私の2550Sは
13.3インチという中途半端な液晶で、画面幅は270mm。中に入っていたオリジナルの陰極管は2mm x 277mm
でしたので、これに近い長さのものを探します。結果、2.6mm x 285mmというサイズの管を発見。やや長めなのが
気になりますが、短くて隅が暗くなるのもイヤなのでこれにしました。太さが0.6mmオーバーしてますが、これは
陰極管を収納するホルダーに余裕があるので大丈夫そうです。

オンライン発注は簡単でした。日本語ページもありますし、クレジット決済なら誰でも出来ると思います。
今回私は289-1057-NDという品番の物を2本発注してみました。1本の単価は1638円でしたが、Handling chargeと
Shipping chargeが計3000円加算されて合計6276円という結構な金額になっちゃいました。まとめ買いがお得ですが、
たくさん買い込んでサイズが合わなかったり点灯しなかったりしたら悲惨なのでむずかしい所ですね。
そもそもオリジナルの駆動電圧さえ分からずに交換しようとしているのですから、それ自体無謀な行為と言えなくも
ないのですが・・・。

そんな訳で、やって来ました冷陰極管。UPS EXPRESSで発注から6日で到着。速い!

 

こんな感じで梱包されてました。

 

では早速交換作業に入ります。
くどいようですが、くれぐれも分解・改造は自己責任でお願いします。

液晶パネルを外します。Satellite2550の場合、画面下のネジ2本を外せばオモテの枠が外れます。簡単ですね。
ネジを外した後、マイナスドライバ等で隙間をこじって下さい。パキパキパキとツメが外れていきます。このへんは
多少乱暴にやっても大丈夫です。ツメは折れません。以前S○TECのノートをバラした時はツメが折れまくって
大変でしたが、こいつは頑丈でした。さすが日本製。

 

オモテの枠が外れました。液晶パネルの下にインバータが見えてます。
パネルは左右2本ずつネジ止めされていますので、これも外して下さい。液晶の裏にあるフラットケーブルと
インバータに行ってるケーブルを抜いておくのを忘れずに。

 

液晶パネルはSAMSUNG製でした。あれれ?東芝のPCなのに自社のパネルじゃないのか・・。( ´・ω・`)ショボーン
ここから冷陰極管を取り出す作業に入るのですが、取り出し方はパネルによって違ってくると思います。
私のSatellite2550Sの場合、液晶パネルを全分解しないと陰極管が取り出せませんでした。
パネルの下面(Windowsで言うとタスクバーのあたり)に金属カバーがあり、その中に陰極管が収納されている
構造なのですが、その金属カバーが液晶本体や散光シート、アクリル板などの部品を複雑に挟み込んでいるため、
陰極管のみ取り外すのは不可能です。

パネルの分解はゴミの付着やフラット基板の扱いに注意して慎重に作業します。さすがにこれは少し慣れないと
難しいかも知れません。

 

パネルを分解し、金属カバーの中にある陰極管を取り出します。折れやすいので注意して下さい。
私は見事に折りました。
失敗談をもうひとつ。液晶パネルの全分解が面倒くさかったので、この金属カバーを無理やり折り曲げて陰極管を
取り出そうとしたのですが、カバーが変形した事により画面に見事な明るさムラが出来てしまいました。
陰極管を収納しているカバーはなるべく手を入れないほうが賢明のようです。おかげでカバーを元の形に戻すのに
かなり緻密な板金工作を求められてしまいました。(^^;)

 

黒い部分が前述の金属カバーです。コの字型になってて陰極管が収納されてます。(クリックで拡大します)
新しい陰極管をカバーの中に入れてパネルを組み上げます。元の管より長かったので、予想どおり枠から
ハミ出てしまいました。仕方がないので管が収まるように枠を少し加工しました。

 

陰極管の両端は配線を半田付けします。ゴム製のカバーは再利用します。私の場合、管が長さオーバーだった為
片方のゴムは枠からはみ出て使えなくなり、他の物で絶縁しました。
絶縁といえば、組み上げた液晶パネルは陰極管周りの絶縁を忘れないようにしてください。一応高圧が掛かって
いますので、周辺の部品にリークすると明るさが不安定になりますし、最悪燃える・・・かも知れません。

 

パネルを組み上げたら点灯を確認します。

 

枠からはみ出た部分。プラスチックで絶縁してます。
陰極管がパネルの枠より長かった為、画面の左右隅が少し明るくなっていますが、気にしない気にしない。

 

何とか完成しました。めでたしめでたし。
交換前との比較ですが、明るさはだいぶ改善されて実用レベルになりました。ただ、管の長さや太さがオーバー
だったせいか、そこらのマトモなノートに比べるともう一歩、といった所でしょうか。あと、色温度がやや低めでした。
今後、オリジナルのサイズに近い陰極管が入手出来たらもう一回交換してみようかな・・・と思っています。

今回の改造は結構大変でしたが、「液晶は寿命が短い」というイメージを払拭出来るいい機会だったと思います。
液晶自体は長寿命らしいですから、こうして陰極管を交換していけばCRTより長く使えるかもしれません(笑)。
願わくば、もう少しバックライト交換が簡単に出来る構造にしてもらえればなぁ、とパネルの製造メーカーに
お願いしたいところですね。

 

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